『こゝろ』第12回@マレビト


およそ一年をかけて漱石の『こゝろ』を読もうと、今年の初めから始めたマレビト朗読会。気がつけば年末、その一年が経とうとしています。毎月八話づつ、物語がゆっくりゆっくり、本当に少しづつ進むにつれて、自分の暮らしもゆっくり変わっていきました。自分の周りも、やっぱり変化していきました。
『こゝろ』と共にあった今年、あのときのあの想いを漱石が解きほぐしてくれました。年の暮れにぜひ、自分の知らなかった自分と出会いに、ふらりとお立ち寄りください。

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読み物:夏目漱石『心(こゝろ)』 第12回
朗 読:岡安圭子
日 時:2015年12月26日(土)19時~ 1時間ほど
場 所:MAREBITO中央区新川1-3-23/八重洲優和ビル2階 
入場料:1,000円
定 員:10名 
要予約:okayasukeiko@gmail.com
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※この日は会場となるマレビトにて18時まで古道具展が開催されているため、いつもの朗読ワークショップはお休みです。でも、古道具展へもどうぞ足をお運び頂き、古き時代に身を置いて、朗読会までの心の準備体操などなさって頂けたらと思います。

声でつむぐ朗読会@馬喰町Art+Eat



「ですが、ほんとうをいえば、そのマザア・グウスはやはりわたくしたちと同じこの世界に住んでいた人でした。べつにお月さまのお隣の空にいた人ではありません。子供がすきな、そうして、ちょうどあのがちょうが金きんの卵でもうむように、ぼっとりぼっとりとこの御本の中にあるような美しい子供のお唄を子供たちの間におとしてゆかれたのでした。」
ー『まざあ・ぐうす』/北原白秋訳「はしがき」よりー
 
 
12/23(水・祝)の「声でつむぐ朗読会」では、馬喰町Art+Eatさんの大きな長テーブルをみんなで囲んで、まざあ・ぐうすのおばあさんがぼっとりぼっとり落としていったお唄を拾い、それぞれ声に出して紡いでいきます。明かりを落とし、ロウソクを灯して、今年一番の特別なあたたかい時間をつくりましょう。少し遅い時間ですが、小さなお子様、お腹の赤ちゃんのご参加ももちろん大歓迎です(参加費に含まれる飲み物はお一人様分ですが、別途注文することもできます)。暖かくしてご来場ください。
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「声でつむぐ朗読会」
長い年月をかけて語り、唄い継がれてきたマザーグース。
順番にお一人お一人に読んで頂き、みんなでひとつの朗読会をつむぎます。
大きなテーブルを囲み蝋燭をともし、あたたかい時間をつくりましょう。
12/23(水・祝)17:00~18:30 定員15名
参加費:¥1500( ジンジャークッキー&飲みもの付き)
ご予約:03-6413-8049
URL:https://www.art-eat.com
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『こゝろ』第11回@マレビト

年末も近づいて参りました。この1年は、日々のなんでもない生活が続いていくその平行線上に『こゝろ』の朗読もゆっくり進んでいっていました。毎回「”今日の私”のことを言い当てられている」ような生々しい言葉に出会い、自分の中だけで終わっていたはずの出来事も、漱石の言葉で客観的に見ざるを得なくなりました。それが、おそらく親の心配も結婚も、そしてこんなに年を重ねてはいなかった幼い頃に『こゝろ』を読んだときとは一番違う点だと思います。

さて、MAREBITO朗読会&ワークショップ、今月は通常どおり月末土曜に。WSも少しづつお客様が増えてきてうれしい限りです。お時間ございましたらどうぞお立ち寄りくださいませ。


①朗読ワークショップ 17時〜(1時間ほど)
テキスト:ご予約頂いたお客様の雰囲気に添うものを選びます。
参加費 :2,000円
要予約 :okayasukeiko@gmail.com
定  員:5名 

②朗読会 19時〜(1時間ほど)
読み物:夏目漱石『心(こゝろ)』 第11回
入場料:1,000円
定 員:10名 
要予約:okayasukeiko@gmail.com

いずれもMAREBITO(中央区新川1-3-23/八重洲優和ビル2階)にて。お待ちしております。





手から生まれる@馬喰町Art+Eat

兼子美由起/うつわと古本 ソウマノリコ/手つむぎ糸と織り
日程:2015.12.1(火)〜12.25(金)

- 火・水 11:00~19:00(L.O. 18:30)
- 金・土 11:00~21:00(L.O. 18:30)
- EAT time 11:30~18:30
(14:00までドリンクサービスあり)
- 日・月・木・祝休廊(但し、12/23,24は営業いたします。)
- 最終日17:00まで



シベリアで発掘された人類最古の縫い針は4万年前のもの。

骨を削り穴をあけただけの小さな道具にトナカイの靭帯から作った糸を通して毛皮を縫い合わせ、ホモサピエンスはー50度の極寒を生き延びました。

すごいなあ!

生きるための技術だった手仕事はつつましく、あたたかい暮らしの中に今も継承されています。

12月はアートイートの2015年のテーマ「手からうまれる」を象徴する二人の作家を迎えて、丁寧な手仕事の展示を行います。

また、「繕う」「継ぐ」をテーマとした昔ながらの手作業のワークショップも企画しました。

スペシャルゲストに言葉を声にのせてふしぎな時間をつむぎ出す朗読家、岡安圭子を迎え、朗読ワークショップも開催致します。ぜひふるってご参加ください。





■スペシャルゲスト岡安圭子(朗読家)「声でつむぐ朗読会」

長い年月をかけて語り、唄い継がれてきたマザーグース。
順番にお一人お一人に読んで頂き、みんなでひとつの朗読会をつむぎます。
大きなテーブルを囲み蝋燭をともし、あたたかい時間をつくりましょう。

12/23(水・祝)17:00~18:30 定員15名

参加費 ¥1500( ジンジャークッキー&飲みもの付き)


▪️詳細:馬喰町Art+Eat

朗読会@OGUMAGを終えて


「けはひ・・・イ、なるもの・・・北へ」の朗読イベントが終了しました。午後2回、たくさんの方にご来場頂きまして本当にありがとうございました。いらっしゃったお客様の中から、ずっと聴きたかったムックリの音色も聴かせて頂くことが出来て幸運でした。

初めて由良さんにお話を頂いた日から今日まで、由良さん、佐佐木さんとのやりとりや打ち合わせがとても楽しくて、ほんの少し年上なお二人に委ねて遊ばせて頂いたような気持ちです。とても大事な会になりました。

展覧会は11/15まで。北の写真と、「イ」と。
ぜひ実際に足を運んでご覧ください。



朗読会@OGUMAG


2015年10月24日(土)から11月15日(日)まで、荒川区東尾久のOGUMAGギャラリーにて、写真家の由良環さん、作家の佐佐木實さんによる展覧会が開催されます。由良さんは私が朗読を始めた初期の頃に森岡書店さんでお会いし、以来展覧会の際には朗読のご依頼を頂くようになりました(有難いことです)。
今回、佐佐木實さん(書のようなドローイングのような、言葉をモチーフに作品制作をされている作家さんです)とのお二人展を開催されるにあたり、11月3日(火・祝)に朗読イベントを開催することになりました。由良さんの作品の題材となった北海道に因み、アイヌ語を発してみたいと思います。佐佐木さんのドローイングによるパフォーマンスとともに、お楽しみください。

朗読イベント【アイヌ言葉をめぐって】
日時:11月3日(火・祝)
   第1回 15:00-15:30
   第2回 17:30-18:00
場所:OGU MAG
入場:無料(DRINK 300円)/予約不要
 

ボイスサンプル

朗読会の音声は、録音したりしなかったり、してたつもりがスイッチを入れていなかったり・・・ということであんまりきちんと記録できていません。ビデオを回すこともありますが、自分が朗読している姿など恐くて見られません。結局のところ不勉強でしかないのですが、やっぱりそれを見て研究云々、というのは自分のやり方とは何か違うような気がして、ここまで来てしまいました。
 
ですが、時折自分でも自然に録音に向き合えることがあって、それをふたつご案内します。こういうのは、本当に私的なものとごく近くて「ボイスサンプル」と称すべきものではないのかもしれません。が、私の中では「OK」を出したふたつです。誰かの為をおもって声を発することが、やっぱり自然なのだと思います。


「やまなし」with HANA
https://soundcloud.com/keiko-okayasu/raqr6e7oppjp

みーちゃん」
https://soundcloud.com/keiko-okayasu/15-06-08a


 

『こゝろ』第10回@マレビト


『こゝろ』第9回と、朗読ワークショップが終了しました。ご来場くださった皆様、お気づかい頂いた皆様、ありがとうございました。

今回初めて試みた大人の朗読ワークショップでは、参加された方から「恥ずかしくなかった〜」とのお声を頂き、ホッとしました。普段は自分が朗読してばかりですが、このワークショップでは私は人の朗読の声を聞くことができます。それが、もうとてもよいのですよ!MAREBITOの落ち着いた空間と日暮れ頃の光も、それらをやさしく包んでくれます。
 
ワークショップは今後も、毎月の朗読会の前の時間に開催します。次回は10/31(土)に。朗読会のDRINKは青山史子さんが担当してくださいます。novara食堂と題し、Twitterで見た目も美しいお料理を紹介されてきた青山さんがおつまみも作ってくださるそうです。こちらもお楽しみに!
 
 
①ワークショップ 17時〜(1時間ほど)
テキスト:ご予約頂いたお客様の雰囲気に添うものを選びます。
参加費 :2,000円
要予約 :okayasukeiko@gmail.com
定  員:5名 

②朗読会 19時〜(1時間ほど)
読み物:夏目漱石『心(こゝろ)』 第10回
入場料:1,000円
定 員:10名 
要予約:okayasukeiko@gmail.com
Drink :青山史子 ※ドリンク代は別料金です
いずれもMAREBITO(中央区新川1-3-23/八重洲優和ビル2階)にて。お待ちしております。



前回のあらすじ 08

『心(こころ)』 前回のあらすじ

■第八回(2015年8月29日) 
「先生と遺書 五十七から六十四」

「私が両親を亡くしたのは、まだ私の二十歳にならない時分でした。東京へ来て高等学校へ這入りました。両親の死に絶えた私の住居には、新しい主人として、伯父夫婦が入れ代わって住んでいました。その間に、伯父は私の財産を誤魔化しました。
私と伯父の間に親戚のものが這入り、私の所有にかかる一切のものを纏めてくれました。それは金額に見積もると、私の予期より遥かに少ないものでした。けれども、学生として生活するにはそれで十分以上でした。私は受け取ったものを凡て金の形に変え、長く故郷を離れることにしました。

金に不自由のない私は、騒々しい下宿を出て、新しく一戸を構へて見ようか、という気になりました。散歩がてらに本郷台を西へ下りて小石川の坂を真っ直ぐに伝通院の方へ上がり、ぐるぐる歩き回りました。駄菓子屋の上さんに尋ね、静かな素人下宿を教えてもらいました。そこには軍人の遺族、未亡人とその娘さんとが住んでいるとのことでした。」

10/10のお知らせ@マレビト

10/10の朗読をふたつ、ご案内いたします。

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①朗読ワークショップのご案内
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声を出して本を読む。その気持ち良さ、健やかさ。
間をつくる。間を意識してみる。何もない時間を知る。
聞く。人の声、自分の声を聞く。聞く事への意識。
人と、声を重ねる。重なった声の美しさに心が震える。
  
人前で本を読むのは、最初は少し恥ずかしいかもしれません。
基本的な呼吸と発声練習から始めて、少しづつ声を出していきましょう。
その日のお天気や場所の雰囲気に合わせて選んだテキストを、間を意識しながらゆっくり読んでいきます。
最後は皆で声を重ねて朗読します。声を出すことの気持ち良さを知り、重なった声の美しさをめいっぱいお楽しみください。 
      
講  師:岡安圭子 okayasukeiko.com  
日  時:2015年10月10日(土)午後5時〜6時
場  所:MAREBITO(中央区新川1-3-23/八重洲優和ビル 2階) 
テキスト:その日の気候に合わせて読むものを選びます。
参加費 :2,000円
定  員:5名 
ご予約、お問い合わせ:okayasukeiko@gmail.com

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②朗読の流れる時間at マレビト vol.11
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読み物:夏目漱石『心(こゝろ)』 第9回
日 時:2015年10月10日(土)19時~ 1時間ほど
場 所:MAREBITO(中央区新川1-3-23/八重洲優和ビル 2階) 
入場料:1,000円
定 員:10名 
要予約:okayasukeiko@gmail.com
朗 読:岡安圭子
Drink :堤純一 ※ドリンク代は別料金です


「私を呼びに来るのは、大抵お嬢さんでした。お嬢さんは縁側を直角に曲って、私の室の前に立つこともありますし、茶の間を抜けて、次の室の襖の影から姿を見せる事もありました。お嬢さんは、其処へ来て一寸留まります。それから屹度私の名を呼んで、「御勉強?」と聞きます。私は大抵六づかしい書物を机の前に開けて、それを見詰めていましたから、 傍で見たらさぞ勉強家のやうに見えたのでせう。」ー『こころ』 六十七(先生と遺書)よりー



※『こころ』朗読会は毎月月末に開催していますが、9月のみ諸事情により翌月10/10へ変更になりました。ご予定くださっていた皆様には大変申し訳ありません。
10月の回は通常どおり月末10/31に開催いたします。
 
 
猛暑が続いた昨年まではようやく訪れた秋の気配にほっとしていましたが、今年は気がついたら10月も間近で少し焦ってしまいました。
お時間ございましたら是非お立寄りください。

土祭(ひじさい)を終えて




三日間の益子滞在を終えて、東京へ戻りました。
土祭はまだまだ続きますので、落ち着きましたら朗読イベントの様子など書き記したいと思います。

ご来場下さいました皆様に、心から感謝を申し上げます。

9月20日 コウホネ田んぼにて「花灯り」





9月21日 石の蔵「内田輝 月おい演奏会」に朗読で参加photo by 内田輝




9月22日 コウホネ田んぼにて朗読ワークショップ






photo by 喬木リエ


【後記】土祭公式Blogに記事を載せていただきました。
http://hijisai.jp/blog/sumasu/sumasu1/7168/

土祭(ひじさい)@益子

三年に一度の益子のお祭り、「土祭(ひじさい)」が9月13日〜28日(新月から満月の間)に開催されます。この2週間は益子の町のあちこちで、アートや飲食や音のイベントが楽しめます。
この貴いお祭りで朗読させて頂く事になりました。

【ドウメキノコウホネ Project】西明寺地区
きらきらと光の反射がゆれる水面から伸びる茎に、小さな黄色い花がひとつ咲く。益子の農村地帯を中心に、60歳以上の住民の記憶に鮮やかに残る水草、コウホネ。その復活を願って、土祭の中でも西明寺地区で行われるイベントにて、私は文筆家の町田泰彦さんが編まれた三編の物語を読み上げます。
滞在中は会場となるドウメキノコウホネ田んぼの他、公式企画以外にもふらっと訪れた場所で朗読してみようと企んでいます。

下記日程で朗読します。もしこの期間中においでになられる方はどうぞお知らせください。

▶︎9月20日(日)16:00〜朗読会@コウホネ田んぼ
▶︎9月21日(月)18:30〜朗読@つかもと石の蔵(内田輝 月おい演奏会に参加
▶︎9月21日(月)20:30〜朗読 @pejite
▶︎9月22日(火)10:00〜朗読WS@コウホネ田んぼ



夏の思い出

夏の終わりに、宮沢賢治の『やまなし』を練習していました。語感が面白いのか、娘も後について読み出しました。
二匹の蟹になったような気持ちで読んだ、母娘の『やまなし』です。

▶︎ 音声サンプル 『やまなし』(宮澤賢治)
 
 

前回のあらすじ 07

父の元気は次第に衰えていき、とうとう医者から絶対安臥(あんが)を命ぜられ、両便とも他(ひと)の手で始末して貰うようになった。母からは、「お父さんの生きて御出でのうちに、お前の口が極ったら嘸(さぞ)安心なさるだろうと思ふんだがね」と云われたが、哀れな私は親孝行の出来ない境遇にいた。

父の病気は最後の一撃を待つ間際迄進んで来て、家のものは運命の宣告が今日下るか、今日下るかと思って毎夜床に入った。そこへ一通の分厚い郵便が届いた。先生からであった。「此の手紙があなたの手に落ちる頃には、私はもうこの世には居ないでしょう。とくに死んでいるでしょう。」

私は停車場へ急ぎ、思い切った勢いで東京行の汽車に飛び乗ってしまった。ごうごう鳴る三等列車の中で、袂から先生の手紙を出した。「私は書きたいのです。私の過去を書きたいのです。自分で自分の心臓を破って、その血をあなたの顔に浴びせかけようとしているのです。私の鼓動が止まった時、あなたの胸に新しい命が宿る事が出来るなら満足です。」

『こゝろ』第8回@マレビト

朗読の流れる時間at マレビト vol.10
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読み物:夏目漱石『心(こゝろ)』 第8回
日 時:2015年8月29日(土)19時~ 1時間ほど
場 所:MAREBITO(中央区新川1-3-23/八重洲優和ビル 2階) 
入場料:1,000円
定 員:10名 
要予約:okayasukeiko@gmail.com
朗 読:岡安圭子
Drink :堤純一 ※ドリンク代は別料金です
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「始終接触して親しくなり過ぎた男女の間には、恋に必要な刺戟の起る清新な感じが失なはれてしまふやうに考えています。香をかぎ得るのは、香を炊き出した瞬間に限る如く、酒を味はうのは酒を飲み始めた刹那にある如く、恋の衝動にもこういふ際どい一点が、時間の上に存在しているとしか思はれないのです。」ー「先生と遺書 六十」よりー
 

長い物語も愈半分を過ぎ、「先生と遺書」の部へ入りました。たんたんと語られる先生の過去を、後半もゆっくりと読み進めて行きたいと思います。
お時間ございましたら是非お立寄りください。


『こゝろ』第7回終了しました

『こゝろ』朗読会第7回を終了しました。暑い中足を御運びくださった皆様、ありがとうございました。壁際にいた私の耳には届きませんでしたが、窓際のお客様には遠くの花火の音が聴こえていたとのことです。そういえばいつかの夏の夜にも、音だけの花火を楽しんだ事がありました。『イギリス人の患者』を読んだ朗読会の帰り道でした。
次回は8/29(土)に。少しは暑さが和らいでいるとよいのですが。


9月には益子の土祭へ参加させて頂きます。
詳細はこちらで順次お知らせしていきたいと思います。

「uusikuu」AYA NAKADA

AYA NAKADAさんのAlbum「uusikuu」の帯の言葉を書かせて頂きました。アルバムタイトルの「uusikuu」とは「新月」という意味だそうです。新月って、そもそもどういう状態なんだろう?と調べてみたら、太陽と重なるとき、そして其の瞬間の月は見えない状態であるとのことでした。その神秘さにひかれ、また音のない壮大な星たちの動きを想像するときに、このAlbumはぴったりだと思いました。




「一人の時間に添える音」

気配で感じる外の雨
昔々のあの人との会話
月の重なり、ほんとうの静けさ

見えない音を思い出すために


9月16日から全国リリースとのことです。
是非お手にとって、耳に心地よい音を御楽しみください。

AYA NAKADAさんのHP
http://ayanakada.blogspot.jp/search/label/news


前回のあらすじ 06

『心(こころ)』 前回のあらすじ

■第六回(2015年7月4日) 
「両親と私 四十一から四十八」
 
父の元気は次第に衰えていった。
八月の半ば頃になって、私はある朋友から手紙を受け取った。地方の中学教員の口があるが行かないかと書いてあった。私はすぐ返事を出して断り、父と母に其話をした。二人とも私の断ったことに依存はなかった。「そんな所へ行かないまでも、もっといい口があるだろう」迂闊な父や母は、不相当な地位と収入とを卒業したての私から期待しているらしかった。「お前のよく先生々々といふ方にでも御願いしたら好いぢゃないか。こんな時こそ」
私は生返事をして席を立った。

父や母の手前、地位を出来る丈の努力で求めつつある如くに装ほはなくてはならなかった。私は先生に手紙を書いて家の事情を詳しく述べ、出来る事があったら何でもするから周旋してくれと頼んだ。私は先生が私の依頼に取り合ふまいと思いながら此の手紙を書いた。先生からは一週間経っても何の音信もなかった。

私が愈東京へ立たうといふ間際になって、父は又突然引っ繰り返った。私は不安の為に、出立の日が来てもついに東京へ立つ気が起こらなかった。又三四日過ごし、父が又卒倒した。医者は絶対臥あんがを命じた。
父の病気は同じやうな状態で一週間以上つづいた。病人があるので自然家の出入りも多くなった。其の中に動かずにいる父の病気はただ面白くない方へ移って行くばかりであった。私は母や伯父と相談して、兄と妹に電報を打った。

私が父の枕元を離れて、独り取り乱した書物の中に腕組みをしている所へ母が顔を出した。
「御父さんの生きて御出のうちに、御前の口が極ったら嘸(さぞ)安心なさるだらうと思ふんだがね。此様子ぢゃ、とても間に合わないかも知れないけれども、まだ口も慥かなんだから、ああして御出のうちに喜ばして上げるやうに親孝行をおしな」
憐れな私は親孝行の出来ない境遇にいた。私は遂に一行の手紙も先生に出さなかった。

兄と妹の夫とが実家へ着いた。父の病状について、我々よりも楽観的であった。そうしているうちに突然私は一通の電報を先生から受け取った。電報には一寸会いたいが来られるかといふ意味が簡単に書いてあった。兄や妹の夫迄呼び寄せた私が、父の病気を内遣って、東京へ行く訳には行かなかった。私は母と相談して、行かれないといふ返電をうつ事にした。出来る丈簡略な言葉で父の病気の危篤に陥りつつある旨も付け加えたが、夫でも気が済まなかったから、委細手紙として、細かい事情をその日のうちに認ためて郵便で出した。頼んだ位地の事とばかり信じきった母は「本当に間の悪い時は仕方のないものだね」と云って残念そうな顔をした。

『こゝろ』第7回@マレビト

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読み物:夏目漱石『心(こゝろ)』 第7回
日 時:2015年7月25日(土)19時~ 1時間ほど
場 所:MAREBITO(中央区新川1-3-23/八重洲優和ビル 2階) 
入場料:1,000円
定 員:10名 
要予約:okayasukeiko@gmail.com
朗 読:岡安圭子
Drink :堤純一 ※ドリンク代は別料金です
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「御前これから何うする」と兄は聞いた。私は又全く見当の違った質問を兄に掛けた。
「一体家の財産は何うなってるんだろう」
「おれは知らない。御父さんはまだ何とも云わないから。然し財産って云った所で金としては高の知れたものだろう」
母は又母で先生の来るのを苦にしていた。
「まだ手紙は来ないかい」と私を責めた。


ー「両親と私」 四十九 よりー

この日で「両親と私」の回を、そしてこの長い物語の半分をようやく通過することになります。
父も母も兄もそれぞれの立場から「私」に語りかけ、その生々しさにひやりとします。物語はいよいよ「先生と遺書」の回へ。前回までのあらすじもご用意して、同ビル二階へお引っ越ししたマレビトにてお待ちしております。


『こゝろ』第6回終了しました

先週の土曜に、『こゝろ』第6回を無事に終えました。
ご来場頂いた皆様、お気遣い頂きました皆様、本当にありがとうございました。

徒歩5階から2階へ、スペースが少し狭くなりなんだか誰かのリビングのような雰囲気もあるマレビトにて、今回はろうそくを一本だけ灯しました。どこかホッとするような空間で、「両親と私」の回を読み進めます。大きな出来事は起こらないけれども、親子の生々しい心情がわかる文章に、若い頃に読んだのとは違う感動を覚えます。

次回は7/25(土)の夜に。隅田川の花火で静かになった茅場町へ、ご来場お待ちしております。



前回のあらすじ 05

『心(こころ)』 前回までのあらすじ

■第五回(2015年5月31日) 
「先生と私 三十三から三十六」
「両親と私 三十七から四十」

6月、私は卒業論文を書き終え、予定通り及第した。卒業式の晩、先生のうちへ御馳走に招かれていった。食後に奥さんの手製のアイスクリームを頂いていると、先生が聞いた。
「君も愈卒業したが、是から何をする気ですか?」
私にはただ卒業したという自覚がある丈で、是から何をしようという目的もなかった。
「本当いふと、まだ何をする考えもないんです。実は職業といふものに就いて、全く考えたことがない位なんですから。だいいち何れが善いか、何れが悪いか、自分が遣ってみた上でないと解らないんだから、選択に困る訳だと思ひます。」

私は其夜十時過に先生の家を辞した。二三日うちに帰国する筈になっていたので、席を立つ前に私はちょっと暇乞いの言葉を述べた。先生も此夏は何処かへいくかも知れない、とのことだった。
「時に御父さんの病気はどうなんです」と先生が聞いた。この前の冬に父の病気がわかり、帰国したばかりだった。私は父の健康について殆ど知るところがなかった。何とも云ってこない以上、悪くはないのだろう位に考えていた。「本当に大事にして御上げなさいよ」と奥さんもいった。すると先生が突然奥さんの方を向いて「静、御前はおれより先に死ぬだろうかね」と聞いた。
「もしおれの方が先に行くとするね。さうしたら御前何うする」
「何うするって・・・、仕方がないわ、ねえあなた。老少不定っていふ位だから」
奥さんはことさらに私の方を見て笑談らしくこういった。


それから三日の後に、私は汽車で国へ帰った。

『こゝろ』第6回@マレビト

今週末にご案内していましたマレビトでの朗読会ですが、諸事情により来週7/4(土)に日程を変更させて頂きます。
既にご予約頂きました方にはご連絡済みですが、お考え頂いていました方には申し訳ありません。
どうぞよろしくお願いいたします。

朗読の流れる時間at マレビト vol.8
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読み物:『心(こゝろ)』夏目漱石 ー両親と私ー
日 時:2015年6月27日(土)19時~ 1時間ほど
    2015年7月4日(土)19時〜 1時間ほど
場 所:MAREBITO(中央区新川1-3-23/八重洲優和ビル 2階) 
入場料:1,000円
定 員:10名 
要予約:okayasukeiko@gmail.com
朗 読:岡安圭子
Drink :堤純一 ※ドリンク代は別料金です
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ついにマレビトが同じビルの2階へお引っ越ししました。そのお引っ越し先での朗読会です。会場の様子を私もまだ見れてはいません(絶賛引っ越し中とのこと)。
新しい2階では、窓の外から川が眺められるのだそうです。水の気配のするマレビトにて、『こゝろー両親と私ー』。いろんな思いが交叉する物語を、今月もまた読み進めたいと思います。


朗読会@森岡書店終了しました

数年ぶりに森岡書店さんで朗読会をさせて頂きました。森岡書店銀座店では第一回目の朗読会だそうで、それもまた嬉しい、誇らしいことでした。

茅場町でも朗読会のときは隅の方で小さくなっていた森岡さんが、この日もやはり隅で小さく体を丸めていて、変わらないなぁと思いました。小駒さんも(そして旦那様の飛松さんも)なぜだか昔からよく知っている人のような気がしていて、目を閉じて聞いてくださっている姿にほっと落ち着きました。大事な友人も忙しい中を来てくれて(いきたかったなぁ、と言ってくれた友人も)、そういうあったかい人たちに見守られて、ただただ幸せだと思いました。森岡さんの言葉をきっかけに朗読を始めて8年、もうあっという間でしたが、その8年の間に私はこんなに大切な人たちと出会えたのでした。それが形となってみえた朗読会でした。

朗読後のトークショーでは、小駒さんがこの『十力の金剛石』を読んで鉱物に魅せられたお話、旅に出ると川のそばで必ず小石を積んでくるお話など、作家さんがその作家の道を歩むきっかけになったことなどをお話してくださいました。それらを聞きながら、宮沢賢治ってやっぱりすごいな、小駒さんという人を時間を超えて見つけ出して、彼女の前に石を置いていったのだなと思いました。この森岡書店のあったビルのあたりにも足を運んでいたというお話も出てきて、いろんな偶然にみんな驚いていました。

物語の鍵となる「さるとりいばら」が王子たちを不思議な場所へ連れて行ったように、この夜、宮沢賢治が仕掛けたさるとりいばらによって皆が連れていかれたのは、みんなの森岡書店なのでした。
 


飛松陶器さんのHP「すべてはUUの展示で明らかになる?」

小駒眞弓「晶晶」展@森岡書店

先月、奈良県三輪市にある喜多美術館を訪れました。この地で生まれ育った写真家の萬田康文さんの展覧会が開かれていて、それを見る為に。

ローカル線の駅を降りた瞬間に差し込む美しい新緑の光とともに、美術館のある小高い丘を包む際立った静けさや水音のすべてが、萬田さんの真っ白な写真とひとつになっていました。

その美しい三輪から戻るときに、私の30代最後の仕事って何かなと思いました。生まれ育った土地であんな展示を叶えた同い年の萬田さんが羨ましくて、私もふと、原点に帰りたくなりました。

今の活動があるのはすべて、あの日の森岡さんの一言によるものです。
6月で、今日みたいに午後から雨が降っていました。今からは嘘みたいな話ですが、お客さんは誰もいませんでした。

8年後は、茅場町ではなく銀座で。
どうぞよろしくお願いします。


森岡書店朗読会/小駒 眞弓「晶晶」展によせて


宮沢賢治『十力の金剛石』朗読会と作家トークショー
日 時 6月20日午後7時30分〜
定 員 15名
料 金 1,000円
読み手 岡安圭子
場 所 森岡書店 銀座店 東京都中央区銀座1−28−15 鈴木ビル1階 
要予約 okayasukeiko@gmail.comまでお名前と人数、ご連絡先をお送りください。
 
展覧会 U'U' ceramic jewelry and objects 小駒 眞弓


2015 6/16(火)〜 6/21(日)at 森岡書店銀座店 営業時間13:00〜20:00 
“手の中から生まれる結晶”
陶磁器はその組成において
鉱物や宝石ととても近いもの
膨大な時を重ねて形成されていく鉱物たちのような
小さなものが整然とつながっていく構築感
時間や意識が凝縮され
結晶化していくイメージ
手の中から生み出される唯一無二の結晶たち
初個展でもある今回は私が陶磁器という素材を選び、そしてジュエリーを作っていく上で大切なきっかけになった宮沢賢治の「虹の絵具皿(十力の金剛石)」の物語と共に、ジュエリーのほかタイルによる平面作品を展示致します。

以上

『こゝろ』第5回終了しました

『こゝろ 第5回』が終了しました。
今月もまた徒歩5階を昇りご来場くださった皆様、ありがとうございました。

そんなわけでマレビトは、同じビルの徒歩2階へ移転します。
マレビト主に、ここで継続的に朗読会をさせて頂きたいと申し出た一昨年秋には既にどこかへ移転するかもしれないと聞いていましたが、まさか同じビル内に落ち着くとは・・。


今月は少し会場の雰囲気も異なり、ろうそくも変わり、微妙にいつもと異なる趣のマレビトでした。会後に地震もあり、徒歩5階が最後だというのにあまり写真なども撮れなかったのが残念です。
マレビト徒歩5階は6/21まで、ファイナルセールを行うそうです。皆様ぜひ最後の「徒歩5階」へ足をお運びください。

来月は6/27Sat.に。プレオープンの徒歩2階で開催します。皆様ぜひ足をお運びくださいね。


『朗読のじかん』終了しました

5/16に馬喰町Art+Eatでの「朗読のじかん」が終了しました。ご来場くださった皆様、ありがとうございました。

朗読を始めた8年前に、初めて訪れた馬喰町Art+Eat。いつかこんな素敵なところで朗読会が出来たらなぁと思っていたのが、まさか8年後に実現するなんて。続けるって凄い事だなぁと、しみじみ感じていた1日でした。ご縁を繋いでくださった山崎さんには、もうもう感謝しかありません。



3時からの「コドモ朗読のじかん」では、コドモたちがひとつひとつの言葉をゆっくり丁寧に読むのを、そばで聞かせていただく事ができました。本当に私は(せんせい、になったというのに)何をするでもなく、その場のみんなが見守っている、そのことがとてもぐっとくる時間となりました。
終わった後にお母様方とお話させて頂いたのですが、今のこのたどたどしい、みずみずしい読み方がとても貴重なことと思います。コドモの声も、姿形以上に成長とともにどんどん変わっていくので、ぜひiPhoneのボイスメモで録音して残してあげてくださいね。




三浦太郎さんの『くっついた』を読んでくれた山崎家のちーちゃん。大好きなおかあさんと、「くっついた」。


7時からの「大人朗読のじかん」では、冒頭にSpecialGuestに山崎家の櫂くんとともに宮沢賢治の「稲作挿話」という詩を読みました。
櫂くん・・・。堂々とした凛としたまなざしと、みずみずしい声と、そしてあのハプニング(笑)。スカウトしたいくらい素敵です。またぜひご一緒させていただきたいです。





その後は、お客様みんなで妙な一体感を持ち、途中におやつの時間も挟みながら宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」を読みました。山崎さんから「米か稲作にちなんだ物語を」ということで選んだこの童話は、物語の要となる大事なオリザという穀物をめぐってのお話です。オリザというのは実はお米の学名に因んだ名前だそうで、途中途中に稲作に関わる場面がしばしば登場します。



今月と来月は宮沢賢治にご縁があり、いくつかの場所で読む事になりました。
それらもまたこちらでご案内します。ありがとうございました。


前回のあらすじ 04

『心(こころ)』 前回のあらすじ

■第四回(2015年4月25日) /「先生と私 二十五から三十二」
 
其年の六月に卒業する筈の私は、是非共論文を四月一杯に書き上げて仕舞わなければならなかった。私の選択した問題は先生の専問と縁故の近いものであったが、先生は此点について毫も私を指導しようとはしなかった。
「以前はね、人前へ出たり、人に聞かれたりして知らないと恥のよゆに極りが悪かったものだが、近頃は知らないといふ事が、それ程の恥でないように見え出したのだから、つい無理にも本を読んで見やうといふ元気が出なくなったのでせう。まあ早く言えば追い込んだのです。」
それからの私は殆ど論文に祟られた精神病者の様に目を赤くして苦しんだ。ついに四月の下旬が来て、やっと予定通りのものを書き上げる迄、先生の敷居を跨がなかった。

八重桜の散った頃、ようやく自由になった。私はすぐ先生のうちへ行って、先生を散歩へ連れ出した。若葉に閉ざされた小高い蒻鬱した小高い一構の下に細い道があり、這入っていった。人影はなく、躑躅が咲き乱れていた。
「突然だが、君のうちには財産が余程あるんですか?」先生が変な事を私に聞いた。
「君のうちに財産があるなら、今のうちによく始末をつけて貰っておかないと不可いと思ふがね、余計なお世話だけれども。君の御父さんが達者なうちに、貰うものは貰って置くようにしたらどうですか?」
先生は其上に私の家族の人数を聞いたり、親類の有無を尋ねたり、叔父や叔母の様子を問ひなどした。
「田舎者は都会の者より、却って悪い位なものです。それから、君は今、君の親類なぞの中に、是といって悪い人間はいないようだと云いましたね。然し悪い人間といふ一種の人間が世の中にあると君は思っているんですか。そんな鋳型に入れたような悪人は世の中にある筈がありませんよ。平生はみんな善人なんです、少なくともみんな普通の人間なんです。それが、いざといふ間際に、急に悪人に変わるんだから恐ろしいのです。だから油断ができないのです。」先生の談話は犬と子供に遮られ、結末迄進行できなくなった。私は思想上の問題に就いて先生から大いなる利益を受けたが、同じ問題について利益を受けようとしても、受けられない事が間々あった。先生の談話は時として不得要領に終わった。其日二人の間に起こった談話も、この不得要領の一例として私の胸の内に残った。

私は予定通り及第した。卒業式の晩、先生のうちへ御馳走に招かれていった。
「先生の卒業証書はどうしました」と私が聞いた。
「何うしたかね。まだどこかに仕舞ってあったかね」と先生が奥さんに聞いた。
卒業証書の在処は二人とも能く知らなかった。

『こゝろ』第5回@マレビト

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読み物:『心(こゝろ)』夏目漱石 ー先生と私ー
日 時:2015年5月30日(土)19時~ 1時間ほど
場 所:MAREBITO(中央区新川1-3-23/八重洲優和ビル5F-A) 
入場料:1,000円
定 員:10名 
要予約:okayasukeiko@gmail.com
朗 読:岡安圭子
Drink :堤純一 ※ドリンク代は別料金です
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爽やかな季節になりました。
回が進むに連れて、季節の移り変わりを感じるのもまた面白いです。

今回のキーワードは、「徒歩5階」です。
いつもの「徒歩5階」とは異なる趣をどうぞお楽しみください。



『こゝろ』第4回終了しました。

ずいぶん遅くなってしまいましたが、4月の『こころ』も無事に終了しました。だんだんと、この時間の雰囲気がつくられてきて、それがとても心地よいです。

イベントをしていて何かハプニングがあることはままあるのですが、ふと落ち着いて見てみると、そんな時は特にお客様が暖かく見守ってくださっていることに気がつきました。申し訳ない気持ちはもちろんあるのですが、その「見守られている」感じがとても嬉しく思います。

来月は5/30(土)に。心地よい時間となりますように。


『朗読のじかん』@馬喰町Art+Eat

「朗読のじかん」@馬喰町Art+Eat 5月16日(土)

今週火曜日から開催致します「お米農家やまざきの田暦生活(2015.5.12Tue~30Sat)」@馬喰町Art+Eatにて、朗読の時間を持たせて頂くことになりました。
昼(15時~)と夜(19時~)の2回、コドモ朗読と大人のための朗読の時間です。
詳細とご予約方法はこちらをご覧下さい。
https://www.art-eat.com/event/komematsuri/#event

お米農家やまざきさんのHP
http://www.okome-yamazaki.com/

前回のあらすじ 03

『心(こころ)』 前回のあらすじ

■第三回(2015年3月21日) /「先生と私 十七から二十三」
 
「私は嫌はれているとは思いません。嫌はれる訳がないんですもの。然し先生は世間が嫌いなんでせう。だから其人間の一人として、私も好かれる筈がないぢゃありませんか。」
あるとき先生の奥さんと先生について話をしたとき、奥さんはこう結論づけた。それでも、先生の世間が嫌いになった理由として思い当たる事は、ある一つを覗いて他に思いあたらなかった。
「先生がまだ大学にいた時分、大変仲の好いお友達が一人あったのよ。其の方が丁度卒業する少し前に死んだんです。変死したんです。然し人間は、親友を一人亡くした丈でそんなに変化できるものでせうか。私はそれが知りたくって堪らないんです。其処を貴方に一つ判断して頂きたいと思ふの」
私の判断は寧ろ否定に傾いていた。

冬が来たとき、私は偶然国へ帰らなければいけなくなった。母から受け取った手紙の中に、父の病気の経過が面白くない様子を書いていた。珍しく風邪をひいていた先生に要る丈の金を一時立て替えてもらい、その晩の汽車で東京を立った。

国に戻ってみると、父の病気は思ったほど悪くなく、私は先生に手紙を書いて恩借の礼を述べた。最後に先生の風邪についても見舞いをつけくわえた。
父は病気の性質として、運動を慎まなければならないので、床を上げてからも殆ど戸外へは出なかった。退屈な父の相手として将棋の盤に向かいながら、私は東京の事を考えた。私は国へ帰るたびに、父にも母にも解らない変な所を東京から持って帰った。無論私はそれを隠していたが、出すまいと思っても何時かそれが父や母の眼に留まった。私は冬休みの尽きる少し前に国を立つ事にした。

東京へ帰り、早速先生のうちへ金を返しに行った。先生も奥さんも父の病気について色々懸念の問を繰り返してくれた上、こう付け加えた。
「然し人間は脆いものですね。いつ何んな事で何んな死にやうをしないとも限らないから。よく、ころりと死ぬ人があるぢゃありませんか。自然に。それからあっと思ふ間に死ぬ人もあるでせう。不自然な暴力で。」
先生のいった自然に死ぬとか、不自然の暴力で死ぬとかいふ言葉も、その場限りの浅い印象を与えた丈で、後は何等のこだわりを私の頭に残さなかった。


『こゝろ』第4回@マレビト

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読み物:『心(こゝろ)』夏目漱石 ー先生と私ー
日 時:2015年4月25日(土)19時~ 1時間ほど
場 所:MAREBITO(中央区新川1-3-23/八重洲優和ビル5F-A) 
入場料:1,000円
定 員:10名 
要予約:okayasukeiko@gmail.com
朗 読:岡安圭子
Drink :堤純一 ※ドリンク代は別料金です
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「以前はね、人の前へ出たり、人に聞かれたりして知らないと恥のやうに極(きまり)が悪かったものだが、近頃は知らないといふ事が、それ程の恥でないやうに見え出したものだから、つい無理にも本を読んで見やうといふ元気がでなくなったのでせう。まあ早く云えば老い込んだのです。」
ー『心(こころ)』先生と私 二十五よりー

「先生」がいくつなのか、と朗読会後にお客さんと話していた事があります。きっとこの場にいる我々と同じくらいか、あるいは少し年下かもしれないね、と誰かが言って、一同ハッとしました。それが正解に近いかもしれない、でも最後には「朗読を聴きながら各々が想像していた先生の年齢」があるから、それはそのままにしておこうね、という結論になりました。私も、あまりいろんなことを調べたりせず、不勉強のまま会に臨むことにしています。それで見えてくることもあるのです。

朗読会後にみんなであれやこれや、『心』の話だけじゃなくて自分の生活の事、お天気の事、たくさんのおしゃべりをします。それが何より贅沢な時間になっています。私一人の力だけでは作れない、すばらしい時間です。

お時間ございましたらぜひお立ち寄りください。


『こゝろ』第3回 終了しました。

早くも第三回目の『心(こころ)』朗読会が終了しました。ご来場くださった皆様、ありがとうございました。会の後もびっくりするようなおかしなハプニングがあったりして、初対面の方も多かったのになんだか和気あいあいとする時間が嬉しかったです。

次回は4/25(土)。まだまだ続きます。



毎回朗読前に撮っている「徒歩5階」の写真です。朗読家でよかったな、と思うのは、荷物がとっても少ない事(テキスト1冊!)です。


会場となるマレビト、暗闇でも良い雰囲気を醸し出しています。


今回の夫婦キャンドル前コーナーはお米農家山崎ご夫妻。夫婦とはなんぞや、を炎を前に語り合い、思わず西の言葉が飛び交っていました。

会の後の飲み会も定例にしようかな?よろしければおつきあいください、事実は小説より奇なりな出来事が起こる、かも?


前回のあらすじ 02

『心(こころ)』 前回のあらすじ

第二回(2015年2月28日) /「先生と私 九から十六」 

私の知る限り先生と奥さんとは、仲の好い夫婦の一対であった。座敷で私と対座しているとき、先生は何かの序でに「おい静(しづ)」と何時でも襖の方へ声を掛けたが、その呼び方が私には優しく聞こえた。返事をして出てくる奥さんの様子も甚だ素直であった。
言逆ひのようなものを耳にしたこともあったが、しかし先生と奥さんの間に起こった波乱は大したものではないことはすぐにわかった。先生はある時こんな感想すら私に漏らした。
「私は世の中で女といふものをたった一人しか知らない。妻以外の女は殆ど女として私に訴へないのです。妻の方でも、私を天下にただ一人しかない男と思って呉れています。さういふ意味から云って、我々は最も幸福に生まれた人間の一対であるべき筈です。」
先生は何故幸福な人間と言い切らないで、あるべき筈であると断ったのか。私は心の中で疑ぐらざるを得なかったが、其疑いは一時限りで何処かへ葬られてしまった。

或時花時分に私は先生と一所に上野へ行った。そうして其処で美しい一対の男女を見た。「新婚の夫婦のようだね」と先生が云った。「仲が好さそうですね」と私が答えた。
「君は今あの男と女を見て、冷評(ひやか)しましたね。あの冷評のうちには、君が恋を求めながら相手を得られないといふ不快の声が交じっていませう。恋の満足を味わっている人はもっと暖かい声を出すものです。然し・・・然し君、恋は罪悪ですよ。解っていますか」
先生はそれぎり恋を口にしなかった。

またあるときには、若さ故に一途になりやすい私に対して、先生がこういった。
「あまり私を信用してはいけませんよ。今に後悔するから。かつては其人の膝の前に跪づいたといふ記憶が、今度は其人の頭の上に足を載せさせようとするのです。私は未来の侮辱を受けないために、今の尊敬を斥けたいと思ふのです。私は今より一層淋しい未来の私を我慢する代わりに、寂しい今の私を我慢したいのです。自由と独立と己とに充ちた現代に生まれた我々は、其の犠牲としてみんな子この淋しみを味はわなくてはならないでせう。」
私はこういう覚悟を有っている先生に対して、云うべき言葉を知らなかった。

あるとき、先生の付近で盗難に罹ったものが三四日続いて出た。そこへ先生がある晩家を空けなければならない事情が出て来て、留守に番を頼まれた。まだ灯の点くか点かない暮方の頃、長火鉢に鉄瓶が鳴っている茶の間で奥さんに茶と菓子をご馳走になった。自然と、先生の話になった。


『こゝろ』第3回@マレビト

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読み物:『心(こゝろ)』夏目漱石 ー先生と私ー
日 時:2015年3月21日(土)19時~ 1時間ほど
    ※今月は、最終週ではありません。
場 所:MAREBITO(中央区新川1-3-23/八重洲優和ビル5F-A) 
入場料:1,000円
定 員:10名 
要予約:okayasukeiko@gmail.com
朗 読:岡安圭子
Drink :堤純一 ※ドリンク代は別料金です
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私はまだ其後にいふべき事を有っていた。けれども奥さんから徒らに議論を仕掛ける男のように取られては困ると思って遠慮した。奥さんは飲み干した紅茶々碗の底を野簿いて黙っている私を外らさないように、「もう一杯上げませうか」と聞いた。私はすぐ茶碗を奥さんの手に渡した。
「いくつ?一つ?二つ?」

ー先生と私 十七より抜粋ー


物語のクライマックス、悲劇が語られる事の多い『心(こころ)』ですが、大人になってから読むと、あの章もこの章も細部がしっかり面白い。夏目漱石ってすごいな、もっと知りたいな、と今更ながらに思います。
毎月何話かづつ、物語をゆっくり進めていきます。どうぞ、お時間ございましたらこの地味な企画におつきあいください。美味しいお酒と古道具とともにお待ちしております。


『こゝろ』第二回終了しました

『心(こころ)』朗読会 第二回、無事に終了致しました。ご来場くださった皆様、お気遣いくださった皆様、ありがとうございました。


 
今回JTが用意して下さったブルガリアワインは、まろやかな味、甘い味、飴みたいな味、とあちこちでいろんな感想の言葉が聴こえました。とても美味しかったです。
 
蝋燭は、まずは大輿さんの櫨(はぜ)ろうそく。大きな炎が揺れるのをただただ眺めていたくなりました。朗読会の終盤、役目を終えて最後消えかけるときに、会場のあちこちに灯したそれぞれの蝋燭が「じじじ・・」と微かな音で鳴るのを、私もお客様もとても耳心地よく感じました。
卵の形のころんとした方の蝋燭は、海谷さんが手作りしてくださったもの。卵の中に溶けた鑞が湖面のように光ってきれいでした。
銀のお皿の上で離れて灯していたこのふたつの蝋燭が、だんだん溶けてひとつになっていく様は面白かったなぁ。
 
『心(こころ』はまだまだ続きます。
前回までのあらすじもご用意します。
こちらは第一回分→http://okayasukeiko.chicappa.jp/blog/?eid=60
昨夜の第二回分も近々アップします。
 
次回は3/21(土)に。(※月末週ではありません。)
お時間ございましたらどうぞお立ち寄りください。